ライトニングフォーセットを2ヶ月半やってみた結果

ビットコインをライトニングネットワーク上で無料でもらえるサービスを開始して2ヶ月半が立ちました(正確にはもっと前からやっていましたが)。そこで今回はフォーセットの利用状況についての結果について報告したいと思います。

私が提供していたサービスは、1日に200satoshiをライトニングネットワーク(以下、LNと略す)を使って無料で送金するというサービスです。LNノードやEclair Wallet、Bitcoin Lightning Walletを持っている方は毎日200satoshiを受取ることが可能ですが、BlueWalletのようなカストディアルウォレットの場合は、LNノードは1つなので一日の初めに誰かが受取ってしまうと翌日まで誰も受取れなくなります。要は、早い者勝ちです。

以下は2019/2/1から4/19までのフォーセットでビットコインを受取ったノードと払い出し合計です。

合計ノード数:177

払出し回数 :1150 回

払出し金額 :1350(4/20時点の相場)0.0023BTC

 

一番払い出し回数が多かったのはBlueWallet用ノードで55回でした。ほぼ毎日誰かがゲットしていたみたいです。この無料フォーセットでどうやって収益を得ているかと言いますと、、、赤字です!

そこで広告枠を設けて、誰でも自由に広告をアップできるようにしてみました。広告主は2000satoshi(約10円)でLNペイすることで、簡単に広告をアップすることが可能です。皆さんも是非試してみてください。

↓無料でビットコインが貰えるフォーセット↓

https://light.yuyaogawa.com/faucet

 

以下はフォーセットを利用したLNノードの一覧情報です。

 

1
回数エイリアス名最終受取時刻
2
5503021c5f5f57322740e42019-04-19
3
52LivingRoomOfSatoshi.com_LND_12019-04-18
4
50lightning-roulette.com2019-04-18
5
39fedaykin.node.GLN12019-04-18
6
37OpenNode2019-04-18
7
35zigzag.io2019-04-19
8
26bleskovyuzel.info2019-04-14
9
25LightningTESTER.COM2019-04-18
10
25PeerName.com2019-04-19
11
24Craig Wright is a fraud2019-04-18
12
23microbet.fun2019-04-18
13
22VIX182019-04-19
14
21Gheop2019-04-18
15
20BuzzLightning2019-04-05
16
19LIGHTNINGLORD2019-04-18
17
19fedaykin.node.GLN22019-03-24
18
19KillyTheBid2019-04-18
19
18LNTurkiye2019-04-18
20
17CedRacine2019-04-18
21
17viprutv2019-04-19
22
17Quackman2019-04-19
23
16PsychedelicBart2019-04-19
24
16moneni.com2019-04-19
25
16themainesource2019-04-15
26
15Kortik nodl [LND]2019-04-19
27
15
03979017991122f2bc335266dca17
2019-04-19
28
14doublejump2019-04-03
29
14
0347793e4ee1209bf864ac74da1df
2019-04-18
30
14yalls.org2019-03-18
31
13TheMakers_WK02019-04-18
32
13zapread.com2019-04-18
33
12
02f0a621f3f450e04e42e6a4a8767
2019-04-18
34
12voigt.kampff.ln2019-04-18
35
11yalls.org2019-04-18
36
10ROME2019-04-19
37
10
020cd009b6a0c9682b38267ca45c0
2019-04-18
38
10
03b8bd58f49a080272fe6b145595a
2019-04-18
39
9Jenny2019-04-05
40
9
0240b0f6e7bd9b483cbf65fa82a02
2019-04-17
41
9Panthera2019-04-18
42
9thepkbadger2019-04-19
43
9JK2019-04-09
44
8BigTruck2019-04-13
45
8KINGBTC2019-03-28
46
8
03faa072a66822ecbc82a66c55cec
2019-04-18
47
7voigt.kampff.CLN2019-03-24
48
7FUGEE2019-03-16
49
7
0246910a202814b5dd7f84c8f670f
2019-04-06
50
7electrolyte.holydoctrine.com2019-04-19
51
7
02c2176b1237432523f622e10a3cc
2019-04-19
52
7lightninghood2019-02-02
53
7toritobravo2019-03-02
54
7MyCryptoMarket.ca2019-03-23
55
7TotalBuzzKit2019-02-01
56
7ThunderLord2019-04-17
57
6yybazaar.com2019-03-24
58
6lightningnetwork.games2019-03-23
59
5VidaPura2019-02-02
60
5PuraVida2019-02-02
61
503fafb88f3da97ed0cf82019-02-02
62
4
02048366b05437ff5fe650c76b401
2019-03-29
63
4BlockLightning2019-03-19
64
4etleneum.com2019-04-18
65
4telegram.me/lntxbot2019-04-18
66
4
02cc71303464f5bc215bcc27874d9
2019-04-19
67
4DONQUICHOTTE2019-02-02
68
4Bitrefill.com2019-02-03
69
4ilay2019-04-09
70
4lnwallet.io2019-03-23
71
4
03da3b917a178f46472f55ba2dfc1
2019-04-18
72
3recklessbadass2019-03-23
73
3⚡️🔥 BC.GAME🔥⚡️2019-04-18
74
3ln01.bitpie.com2019-04-19
75
3www.btc43.com2019-03-25
76
3
02de56dca00214cb5be947e90c2e1
2019-04-03
77
3
02ee563b76db71e5c7a3b0f46be79
2019-03-24
78
3TeeMoney2019-03-26
79
3
0383b0401634eac7d934039d4d3a7
2019-04-02
80
3Estonia2019-02-03
81
3
039848b5a631f6db7d255be1f22c5
2019-03-28
82
3SnowMiningLN2019-04-06
83
2Phobby2019-03-26
84
20236ce9a77dfd350e3f72019-03-08
85
2Open a Channel Back2019-04-10
86
2
02719fd1202bc306c04130c864a65
2019-04-05
87
2
027382158d8bdd391e6b5737fd05d
2019-04-05
88
2
0278a46f6290720fec264b91a8e0a
2019-04-09
89
2Marx2019-04-02
90
2
0293fd332dc397425b6ca2571094d
2019-03-19
91
2
02948296743f279860f1d72bc4563
2019-04-18
92
2
02a6ac538b88e88365294baed0ad7
2019-04-01
93
2Bloctavius2019-04-02
94
2
02afb0c618be6a138cdb33dd68a2c
2019-04-18
95
2
02db54f87c196f3794b69755ef3ab
2019-04-15
96
20306161db625273a15d82019-04-10
97
2NEURON2019-03-31
98
2I-942019-02-01
99
2
03812d868a5cf891c9e0104213340
2019-04-11
100
2Wed’s Node 📘2019-03-26
101
2
039f93a355a11e843d8a27df13147
2019-04-19
102
2
03bb6ca1dbfd95055399be5c984eb
2019-04-16
103
2
03cdf8a6d0c27a3aa64cecca4f0d3
2019-03-24
104
2BitDouble.io2019-04-14
105
2Kailua2019-04-04
106
2
03f75400aad239ef70016a416d176
2019-03-30
107
1LivingRoomOfSatoshi.com_LND_22019-04-09
108
1Home2019-03-27
109
1
021e3c922b23a728cb4f229404a21
2019-04-19
110
1FreedomCarolinaLN2019-03-25
111
1
022fd1476796a35e81fb2773ca761
2019-03-29
112
1
023572c240b8420fd339bd9413f6f
2019-03-19
113
1edonasac2019-02-04
114
1aranguren.org2019-03-17
115
1satoshis.place2019-03-22
116
1
025428618a56b990b85f5e76373fc
2019-04-11
117
1CRYPTOX2019-03-28
118
1UB_Jimmy2019-03-21
119
1FreeCody2019-04-10
120
1026a0ccc1e8f306827042019-03-02
121
1https://store.creamer.online2019-04-02
122
1dmbw.Latvia.2019-03-17
123
102834cb4af9fb2339bf09fa3a35a92019-04-03
124
1
0284807728228ac2044e31d089a0e
2019-04-10
125
1
02864828c8e5c6007c4455230519a
2019-04-19
126
1
028dcbb5546264931bfaab9617795
2019-04-06
127
1
029942fc18ce66b5eb3cabac75fc0
2019-03-28
128
1Chamicoin Lightning2019-04-01
129
1eclair.lightningnode2019-03-24
130
1
02a2efa7adfb5303c1ed32671a782
2019-04-05
131
121 nodl [LND] LNFAN2019-03-21
132
11.lightningcn.com2019-03-09
133
1ClamsCasino2019-03-04
134
1
02e8c39220109a93fe74aec3d32c8
2019-04-06
135
102e98c3260f006f277a92019-03-17
136
102ede2c27062cc2b0a042019-01-30
137
1
02f06609358d03813916d5dc10482
2019-04-18
138
1LOOPING[LND]2019-04-05
139
102f94eaf14fa05f9b6ba04769995b2019-03-22
140
1ENIGMA2019-03-16
141
1
030e52afc05496e2fd02a28082586
2019-04-19
142
1stevenisko2019-04-14
143
1BUGS e.V. ⚡️2019-03-23
144
1eclair2019-02-01
145
1Berlin2019-03-24
146
1lightningwall.tips (CryptoNews)2019-03-18
147
1
0329debc0dc736f894035e86fdc04
2019-04-14
148
1
032dad677072b8f503726df872b27
2019-04-18
149
1bugbytes2019-03-23
150
1
033c335ca38b3427198309d1060db
2019-04-11
151
1
033ee894cc60f0b496761ea2e2245
2019-04-19
152
1
034292ed12a06ea1bb526b7aaa29e
2019-03-30
153
1
034ea20ae28455d2ebe24233e725f
2019-04-19
154
1Bpay2019-03-21
155
1037667a61f11bdfd28a02019-03-27
156
1mangefort2019-03-23
157
1mystore2019-03-09
158
1HeadoLN2019-03-28
159
1Ratatat#min0.015BTChannels2019-03-06
160
1
0392d7217e00af15ff345ce924e65
2019-04-06
161
1lightning-node.online2019-03-24
162
1
03a51821dbff93384c00d39f3ba48
2019-03-02
163
103a8d85cfaac5fc6e5e338940e7f32019-04-19
164
1lnd.1sat2019-04-10
165
1
03c3a1956ba47c45850477b90f52f
2019-03-07
166
103c80be3937717b502e62019-03-22
167
1SILENTWALK2019-03-10
168
1En2019-03-18
169
1Spinator2019-03-21
170
1
03dae33384754265f1c754adf84d5
2019-04-09
171
1My_Livin_Truth2019-04-05
172
1
03e155fc7bb80300eb0298946fcec
2019-04-19
173
1Cosmo2019-04-06
174
1
03ec7d189bb2c2272a7881fc2a1bd
2019-04-10
175
1
03ee22ea9e228157e9d03700c37e9
2019-04-05
176
1lightningmessage.info2019-04-02
177
1
03ffc0e14b7436b3d820a433f5aea
2019-03-16
178
1
03ffeb87a46737568fe3988be14b5
2019-03-25

ライトニングネットワークとは?

ライトニングネットワークは、ビットコインを拡張した技術です。ビットコインが有名になったことで、ビットコインを使うユーザが多くなりました。それによって、送金手数料が高くなったり、送金時間が遅くなってしまいました。これを「スケーリング問題」というのですが、この問題を解決するために「ライトニングネットワーク」という技術が開発されました。

 
現在、ライトニングネットワークはメインネットで稼動し、多くのユーザーに使われています。ライトニングは、モバイルアプリやデスクトップアプリとして使うことができます。モバイルアプリの紹介はここを参照してみてください。

 

さて、今回のブログでは、ライトニングネットワークの仕組みを簡単に説明します。ライトニングネットワークでは、主に以下の2つの仕組みで構成されています。

  • ペイメントチャネル
  • マルチホップペイメント

今回は「ペイメントチャネル」について説明します。

 

ペイメントチャネルとは?

まず始めに、もし通常のビットコインを使ってコーヒーを3杯買った場合、どうなるかを見てみましょう。支払い毎に手数料を払う必要があるのが分かります。

では、なぜ支払い毎に手数料が発生するのか?ビットコインにおける手数料とは何か?ですが、それは「ブロックチェーンへのデータ書き込み」をする時に発生する費用のことなんです。

なので、このブロックチェーンへの書き込み回数を少なくしてあげれば手数料が減ることになります。

では、どのようにすれば書き込み回数を減らすことができるのかについて見ていきましょう。

まず始めに、お客さんとお店との間で「バランスシート」を作成します。この時に、お客さんはいくらデポジットするかを決めます。今回の例では3ビットコインをデポジットしています。

そして、コーヒーを買うときに、このバランスシートを更新します。

二杯目を買うときも、再度バランスシートを更新します。

二杯目を買うときも、再度バランスシートを更新します

このような流れで、コーヒーを買う時の決済はこのバランスシートをどんどん更新していきます。そして、コインがなくなった時点でこのバランスシートをブロックチェーンへの書き込みます。こうすることで、以下の図のようにブロックチェーンへ書き込みは、バランスシートの作成の初めと終わりの2回になります。

通常のビットコイン支払いとライトニング支払いでのブロックチェーン書き込み回数を見ると、前者が3回で後者が2回となっていますね。

このように、ライトニングではバランスシート作成時の最初と最後だけをブロックチェーンへ書き込み、日々の決済ではブロックチェーンへの書き込みをしないので、手数料が格段に安くなります。このバランスシートを使って2者間で残高を更新していく仕組みを「ペイメントチャネル」といいます。

※バランスシートはいつでも、お客さんまたはお店のどちらでも、ブロックチェーンへ書き込み、コインの清算をすることが可能です。

 

今回は、お客さんがお店Aに対して支払いをしましたが、もしお店Bに対してライトニング支払いをしようとした場合、お店Bに対してもバランスシートを作成しないといけないのでしょうか?

 

これについては、冒頭で触れた「マルチホップペイメント」を使うことで解決することができます。マルチホップペイメントについては次回のブログで解説したいと思います。

今回使用した画像はココからライトニング支払いで購入することができます。

ライトニングペイを体感してみよう!

本サイトでは英国ブランドのジャックウィルスをライトニングペイで購入いただけます。その他通常のビットコインやライトコインにも対応しています。以下の写真をクリックし商品ページより購入できます。

サンドルフォードTシャツ
フルフォードクラシックTシャツ
クロムフォードノットTシャツ
iPhone 6/7 Plus Case
短編小説(デジタル商品)

ライトニング体験の向上パート2 チャネル開設サービス「Thor」

Thorとは、Amazonギフトカードやプリペイドカード、バウチャーなどを仮想通貨で購入できるサービスを提供しているBitRefillが開始した、ライトニングネットワークのインバウンドチャネルを開設してくれるサービスです(リンクはここ)。

以下のように、チャネルキャパシティを指定して購入できるのですが、個人的にはかなり高い気がします。

何はともあれ一度はサービスを使ってみようと思い、170円で500,000satチャネルを購入してみました。チャネル開設にはBitcoin Lightning WalletかLNDなのですが、ここで私はふと考えまいた。

もしかして、Denryu Walletでもいけるんじゃね?(Denryu Walletについてはここを参照)

そう思い立ち、すかさずDernyu Walletを取り出し、購入後に手に入る以下のQRコードをスキャンしてみました。

すると、、、Denryu Walletにチャネル接続の画面が表示されました!!

そして、3承認後に、チャネル開設が完了しました。

次に、受取ができるかの検証です。私が運営しているLightning Faucetのページへアクセスし、Denryu Walletで作った200satのインボイスを張り、ボタンをプッシュ!

なんと!

見事に200satを受取ることができました!

ツイッターとビットコインチップ

ツイッターのCEOであるJack氏がコメントでもしていたtippin.meについての紹介です。

https://platform.twitter.com/widgets.js

使用方法

tippin.meは、ツイッター上でビットコインの送金ができるプラグインをリリースしました。本プラグインはChromeFireFoxのエクステンションとして提供されており、2クリックでインストールが可能です。

インストールが完了し、Chromeからツイッターにアクセスすると、以下のように各ツイートにライトニングマークが表示されるようになります。

 

ライトニングマークをクリックすると、以下のようなQRコードが表示されるので、ライトニングネットワーク搭載ウォレットのEclairやBLW、Denryu Walletを使ってスキャンし送金することができます。

ただし、相手がtippin.meのアカウントを持っている場合に限るので、もしアカウントを持っていない場合、以下のようにエラーがでてしまいます。

 

受取った相手は、tippin.meへアクセスすることで、以下のように残高を確認することが可能です。また、履歴をクリックするとどのツイートに対してライトニングチップが支払われたかを知ることができます。

 

感想

アカウントさへ作ってしまえば、簡単に1satoshiからチップを送れるので面白いアイディアだと思います。ただし、プラグインを導入しても、タイムライン上にはライトニングマークが表示されているだけで、どのツイートにいくらチップが支払われたのかが見れるといいなと思いました。また、チップを送る場合はtippin.meの残高から送金できる機能も必須機能だと思います。現状は、tippin.meアカウントを持っていてもそこからの支払いができなく、わざわざ別のウォレットを使う必要があります。今後のさらなる開発が期待されるサービスだと思います。

ライトニング体験の向上!?インスタントチャネルとアトミックスワップ

はじめに

Instant
2019年に入り、ライトニングネットワーク(以下、LNと略す)のオンラインウォレットが続々とでてきました。BlueWalletやWallet of Satoshiなどがそれにあたります。これらのウォレットはチャネル開設が不要で使い勝手が良いのですが、その反面、中央集権サービスのため、サービスダウンやチャネルキャパシティ不足が原因で一時的にサービスが使えない場合があります。

EclairモバイルやBitcoin Lightning Wallet(以下、BLW)はライトニングモバイルウォレットなので、サービスダウンなどはありませんが、チャネル開設が必要なのでインストール後直ぐに送受信することができないのがデメリットでした。

しかし、BLW開発者のAnton氏によって「インスタントチャネル」というチャネル開設時に、0承認でも送金できる方法が提案されたので、今回はその仕組みと、応用例について解説したいと思います。

インスタントチャネルとは

LNのチャネル開設ではFundingTxというトランザクションを作りブロックチェーンへ書き込みます。そして、このデータが1承認以上経たないと、そのチャネル上でビットコインの送信ができない仕組みになっています。しかし、インスタントチャネルでは、この承認を待たずしてコインの送金が可能になります。

このインスタントチャネルは、ボブがアリスに対して0.5BTC:0.5BTCのプッシュ式でチャネルを開設します。この方法でボブがチャネル開設するとアリスはボブに対して0.5BTCを直ぐに送金することができます。

しかし、これではボブがアリスへ無料で0.5BTCをあげているように見えるのですが、以下のユースケースの場合は、インスタントチャネルが役立つと想定されます。

  • 対面でアリスがボブにインバウンドチャネル0.5BTCを日本円で購入する場合
  • アリスがオンラインゲームなどで0.5BTCのLN上ビットコインを購入する場合
  • アリスが取引所から0.5BTCを引き出す場合

0承認での送受信は安全か?

もし、アリスがこのチャネル上でボブを経由してキャロルへ送金した後に、FundingTxがブロックチェーンに取り込まれず、メモプールから追い出された場合はどうなるでしょうか?この場合、ボブは損をすることになるのでしょうか?答えは、ノーです。

    1. アリスがボブへ0.5BTC相当の日本円を渡します。ボブはアリスに対して開設をします (0.5 アリス / 0.5 ボブ)。
    2. ボブは既にキャロルとの間にチャネル開設ができているとします(0.5 ボブ / 0.5 キャロル)。ここで、アリスは0.1BTCをボブを経由してキャロルへ送金します。この時のチャネルバランスは以下のようになります。
    3. (0.4 アリス / 0.6 ボブ) (0.4 ボブ / 0.6 キャロル)

    4. ここで、(アリス / ボブ)のチャネルを作ったFundingTxがブロックチェーンに取り込まれなかったとすると、ボブのコイン残高はキャロルとのチャネル(0.4 ボブ / 0.6 キャロル)の0.4BTCと、FundingTxで使うことになっていた1BTCとなります。ここで、ボブはアリスに対して(0.4 アリス / 0.6 ボブ)のチャネル開設を再度試みれば良いことになります。

アトミックスワップとは

ここで少しインスタントチャネルから話が変って、アトミックスワップの話です。アトミックスワップとは、2つの異なるコイン、例えばビットコインとライトコインを第3者の仲介無しにトラストレスに交換する暗号トリックのことです。アリスがビットコインを持っており、ボブがライトコインを持っていたとし、以下にその手順を紹介します。

    1. アリスは「シークレット」と呼ばれるランダムな文字列と、そのハッシュ値を生成し、ハッシュ値のみをボブへ渡します。
    2. ボブはこのハッシュ値を使って特別なビットコインアドレス(Ba)を生成し、アリスへ送金してもらいます。ボブはこの(Ba)から自身のアドレスへコインを移動するにはアリスが作った「シークレット」が必要になります。
    3. 次に、アリスがハッシュ値を使って特別なライトコインアドレス(La)を生成し、ボブへ送金してもらいます。そして、アリスは「シークレット」を使って(La)から自身のライトコインアドレスへコインを移動します。
    4. ここで「シークレット」がブロックチェーン上に公開されたので、ボブはこの「シークレット」を使っての(Ba)から自身のビットコインアドレスへコインを移動します。

このような暗号トリックを使うことで第3者の仲介なく2者間でトラストレスにコインの交換ができるようになります。

インスタントチャネルの応用

例えば、アリスはオンチェーンのビットコインを0.5BTC、ボブは1BTC持っていたとします。この時、アリスが0.5BTCをボブのオンチェーンアドレスへ送金し、ボブはアリスに対して(0.5 アリス / 0.5 ボブ)のチャネルを開設します。このプロセスをアトミックスワップで実行してあげることで、不正行為なしでインスタントチャネルを開設することができるでしょう。こうすれば、アリスはチャネル開設を待つ必要がなく、直ぐにライトニングペイが可能になります。

インスタントチャネルはBLWのTestnet版で既に実装済みですので、興味のある方は以下の参考URLより試してみてください。

参考

Instant channels enable safe Lightning payments with unconfirmed funding

賞金1億円のミレニアム懸賞問題とビットコイン

ビットコインなどの暗号通貨に価値がある理由は様々ですが、その内の1つにセキュリティが上げられます。自分の持っているコインがハッキングされてしまったら元も子もないですよね。暗号通貨に限らず、私たちが普段使っているオンラインショッピングであったり、SNSなどのWebサービスにも欠かせないセキュリティですが、これらに共通している技術に「公開鍵暗号」というものがあります。公開鍵暗号はインターネット上で安全にショッピングをしたり動画をみたり、また暗号通貨を送受信したりするために欠かせない技術です。一般的に標準化・普及した公開鍵暗号にはRSA暗号方式というものがあります。このRSA暗号方式の仕組みは以下の1文で表すことができます。それは、

2つの素数p,qを掛けたNから元の素数p,qを見つけるのは難しい

と言うことです。Nは簡単に求めることができますが、Nからpとqを求めることは非常に難しいのです(素因数分解が難しいとも言われます)。簡単に計算できるが逆計算は非常に困難である性質をもつ関数を一方向性関数と言い(詳細はここを参照)、暗号通貨やPKI(公開鍵暗号基盤)の核となっているものです。

しかし、この一方向性関数の存在は証明されておらず(p*q=>Nは一方向性関数の候補にすぎません)、もし存在が証明されると、「P≠NP」であることが示されます。今、突然でてきた「P≠NP」という言葉ですが、これは何を表しているかと言うと、

効率的に解を求める方法は存在しない
(上記の場合、Nからpとqを求める方法)

を数式で表現しているのです。これを「P≠NP予想」と呼び、PKIや暗号通貨の安全性を根拠としているモノです。なぜ語尾に「予想」が付くかと言うと、まだこの数式を証明した人がいないためで、本ブログの題名にもあるように、ミレニアム懸賞問題と題して証明できる人を募集しているみたいです。もしこの予想が間違っており、P=NPであることが証明されると、暗号通貨はもとよりPKIやGPKIなど世の中のインターネット上の安全性は皆無となってしまいます。

ちなみに、ビットコインの署名と検証は楕円曲線暗号(ECDSA)を使っていますが、これも公開鍵暗号方式のうちの1つであり、「離散対数問題」を安全性の根拠としています。離散対数の計算も非常に困難であり(素因数分解が難しいという性質に似ている)、セキュリティの担保も「P≠NP予想」を前提にしています。ミレニアム懸賞問題の1である「P≠NP予想」を解くと1億円の懸賞金が手に入りますが、これを解くことでビットコインの時価総額である数兆円までも手に入れることができるかもしれないですね!ウヒヒ

<おまけ>
以前、自分も分けもわからず呟いていたリーマン予想ですが、これは「素数の分布の規則性」に関する予想であり、この予想が証明されたとしても暗号通貨や公開鍵暗号基盤への影響はありません。これは素数がいくつあるかを厳密に表すことが可能になるこであり、いくら素数の数が分かったとしても、Nからpとqを見つけ出すための計算コストには影響がないのです。また、リーマン予想もミレニアム懸賞問題のうちの1つとして上げられています(リーマン予想やミレニアム懸賞問題に関する書籍の紹介はここが面白いです)。

ビットコインが解決する!?言論の自由を救え!

Bigot_01
昨年末からクラウドファンディングサービスのPatreonに関して物議を醸しているものがあります。カール・ベンジャミン(別の名をSargon of Akkad)と言うYoutuberのPatreonのアカウントが突如、削除されました。運営側からの説明では、N-word(黒人差別用語)を使ったりヘイトスピーチをするなどの利用規約に違反する行為があったからだそうです。しかし、実際は、ベンジャミン氏が右翼を批判するような言論を繰り広げており、そのため政治的理由でアカウントが利用停止になったとの見方が強いそうです。

これにより多くのPatreonユーザーが不満を投げかけており、ジョーダン・B・ピーターソンもその内の一人です。ピーターソン氏は臨床心理学などを教えるトロント大学の教授で、氏も言論の自由を訴えて、様々なヤバイ発言をしてます(ピーターソン氏については今後、詳細に取り上げたいと思います)。

ピーターソン氏は、ベンジャミン氏のPatreonアカウント削除を機に、Patreonサービスを2019年1月15日に退会すると宣言しました(経緯の詳細はこちら)。退会に至った理由は、(1)言論統制を恐れることや(2)決済サービスの停止を恐れることが上げられています。前者の解決方法としては、自分のWebサイトを立ち上げることで解決ができます。後者についてもう少し説明を加えると、決済サービスとはPayPalやStripeがあり、ブロガーやオンラインショップ運営者はこのようなサービスを使うことで、ユーザーから支払いを受取っています。しかし、例えば、ブロガーが自分のWebサイトで仮想通貨に関する「教育コンテンツ」を提供するだけでも決済サービス運営側が利用規約に反するとしてサービスを停止する事例があります。これによりユーザーは収入源が無くなる等の害を被っている現状があります。

そこで決済サービスを利用せずに支払いを受取る方法として、ビットコイン決済が注目を浴びています。ピーターソン氏も自身のWebサイトにてビットコイン寄付を受け付けており、現時点で1.8BTC(約70万円)が寄付されました。ビットコインはStripeやPayPalなどのサービス管理者が存在しないので、言論統制やポリティカルコレクトネスなどによるサービス運営側の都合を気にせずに、ユーザーから資金を募ることができます。

しかし、マネーロンダリングやランサムウェアの身代金要求手段などに悪用される可能性もあることを忘れてはいけません。

【おすすめ】LNモバイルウォレット!

mobile-wallet-2

はじめに

今回はライトニングネットワーク(以下、LN)対応のモバイルウォレットのご紹介です。

*.marginmarker {
background-color: #f0e68c;
/**margin-left: 0.3em;**/
/**margin-right: 0.3em;**/
}
thead {
background: #2E86C1 !important;
color: #FFFFFF;
}
td, th {
border: 1px solid #dddddd;
text-align: left;
padding: 2px !importan;
word-break : break-all;
}

ビットコインのモバイルウォレットにも色々なタイプがありますが、大事なのは秘密鍵がどこにあるかだと思います。

例えば、Blockchain.comのモバイルウォレットでは秘密鍵はサーバ側で管理されておりWebウォレット(またはオンラインウォレット)と呼ばれるタイプのものです。

Bitcoin WalletやBreadwalletは秘密鍵はモバイルウォレットの中に保管されています。また自身の取引等に関する最小限のデータも保管さており、SPV(Simplified Payment Verification)ウォレットと呼ばれるタイプのものです。

Jaxx walletやCopayは秘密鍵はモバイルウォレットの中に保管されていますが、それ以外の検証に使う取引データは保持しておらずサーバ側に委ねており、サーバークライアント型ウォレットと呼ばれるタイプのものです※1。その為、Webウォレットに比べると秘密鍵は自ウォレットに保管しており安全ですが、取引データなどはサーバ側に依存しているのでSPVウォレットよりかは多少リスクが高いと言えます。

ビットコイン用モバイルウォレット

  • Webウォレット:秘密鍵はサーバ側で保管
      (例)Blockchain.com, Coinbase
  • SPVウォレット:秘密鍵はスマホ側で保管
      (例)Bitcoin wallet, Breadwallet
  • サーバークライアント型ウォレット:秘密鍵はスマホ側で保管
      (例)Jaxx wallet, Copay


LNモバイルウォレット

では、LNモバイルウォレットについて見ていきましょう。現時点ではLNモバイルウォレットは、Webウォレット、軽量クライアントウォレット、リモート接続ウォレットの3つに大別できると思います。

WebウォレットはLNに関する機能やデータはサーバ側にあるので、チャネル開設が不要であったり(すでにサーバ側のLNノードがチャネルを開設してくれています)、ルーティング情報もサーバ側にあるので軽量クライアントウォレットより送受信が安定的であったりします。ただし秘密鍵はサーバ側にあります。2019年はこのようなWebウォレットタイプのLNモバイルウォレットが続出するのではと予想しています。

軽量クライアントウォレットはEclairやBitcoin Lightning Walletなどがあり、モバイルウォレットの中に秘密鍵やLNに関する機能、データが組み込まれています。その為、チャネル開設やバックアップなどはユーザー自身が行う必要があります。

リモート接続ウォレットにはSparkやShangoなどがあり、LNノードを自分で立て、そこへモバイルウォレットからリモート接続するタイプのものです。このタイプはLNノードを自分で運用する必要があるため一般ユーザー向きのウォレットではないでしょう。


Webウォレット
アプリ名 概要 対応OS ネットワーク
Bluewallet 通常のビットコイン送受信もLN送受信も可能なWebウォレット。ビットコインの秘密鍵はモバイルウォレットに保存されるため、Webウォレットとサーバークライアントウォレットのハイブリット型と言えるでしょう。チャネル開設は不要 Android
iOS
テストネット
CoinOS 通常のビットコイン送受信もLN送受信も可能なWebウォレット。ビットコインの秘密鍵もサーバ側へ保存されるため、完全なWebウォレット。チャネル開設は不要 Android メインネット


軽量クライアントウォレット
アプリ名 概要 対応OS ネットワーク
Eclair Wallet UIが洗練されたLNウォレット。受取はできないが、バックアップ機能やルーティング機能が備わっている。LNでは老舗企業として評価も高い。 Android メインネット
テストネット
BL Wallet 送金、受取の両方に対応したLNウォレット。バックアップ機能はあるが、ルーティング情報はOlympusサーバーに依存している。Watchtower機能があるため、常にオンラインでいる必要はなく不正行為をする相手がいる場合は、Watchtowerで回避可能。 Android メインネット
テストネット
Denryu Wallet BL Walletから派生したLNウォレット。Sarutobiというゲームをプレイしていく過程でチャネル開設やチップ受取ができるウォレット。 Android メインネット
Rawtx ニュートリノを使った軽量クライアント。アーリーアダプター向けウォレット。 Android
iOS
テストネット


リモート接続ウォレット
アプリ名 概要 対応OS ネットワーク
Spark 自分でSparkサーバ(c-lightningとnodejs)をセットアップしてリモート接続する必要がある。 Android メインネット
Shango ShangoがホストしてくれるLNDへリモート接続することができるので、自身でLNノードを持つ必要がない。 Android
iOS
テストネット


YYBazaar おすすめウォレット

一般ユーザー向けとして、チャネル開設が不要ですぐにLN体験ができると言う観点で以下の2つのWebウォレットをオススメします。


Androidユーザー向け:CoinOS 

ログイン用アカウントを作成する必要がありますが、チャネル開設やLN用デポジットなどが不要で、直ぐにLN用インボイスの発行をして受取をすることが可能です。オンチェーン用ビットコインアドレスのみにデポジットしてもLNペイが可能です。例えば、LN用ビットコインが200 satしかなくオンチェーン用ビットコインが800satあれば、それらを合算した1000 satをLN用ペイメントとして送金することが可能です。また、Webブラウザからも同じアカウントでログインすれば使用できる仕組みになっています。


iOSユーザー向け:Bluewallet 

まだ受取ができないですが、UIがシンプルで、入金フローも分かりやすいと思います。LNを使うためには、まず(1)ビットコインアドレスへ入金し、そのアドレスから(2)LNアドレスへ入金する流れになります。2回のオンチェーントランザクションが必要になりますが、LN用ビットコインが枯渇したら、(1)のビットコインアドレスから(2)のLNアドレスへチャージすれば直ぐにLNペイができるのでおすすめです!


以上、LNモバイルウォレットの比較でした。LNモバイルウォレットはまだまだ発展途上です。Webウォレットではログイン上のセキュリティであったり、軽量クライアントウォレットではオフライン問題やルーティング問題など改善箇所が多々存在しますので、高額なお金をLNモバイルウォレットで運用しない方が良いと思います。私は多くても5000円程度をLNモバイルウォレットにチャージして使っています。


※1 ElectrumウォレットはSPVウォレットですが、セキュリティ向上のためElectrumサーバを使ったサーバークライアント型ウォレットと表現される場合もあります。

※2 参考サイト:http://lightningnetworkstores.com/wallets

登記システム、公証人はなくならない理由とは!?

はじめに

ブロックチェーンで登記システムを代替してしまおう!それで公証人も不要だ!と言う声をたまに聞くことがありますが、ブロックチェーンではそのようなことはできません。 まず、ブロックチェーンとは何か、また、それがどのような課題解決に役立つのかを見ていきます。次いで、登記システムの概要と公証人の役割を確認します。そうすればなぜブロックチェーンで登記システムが代替できないのかが見えてくると思います。

ブロックチェーンとは?

ブロックチェーンはビットコインの基盤技術として発明された仕組みです。その為、ビットコインおよびブロックチェーンは切っても切り離せない存在です。ビットコイン及びブロックチェーンが解決しようとした課題とは、銀行などの第三者機関の仲介なしで、手数料を安く、決済処理を早くして個人間のお金の移動を簡単にすることでした。以下に、ブロックチェーンの特徴をいくつかご紹介します。

誰でも参加できる

普段私たちがネットショッピングやSNSを使う場合、それを管理している人がいます。そのようなシステムを中央集権型と言いますが、世の中の99%がこのような中央集権型のシステムで成り立っています。これに対し、ブロックチェーンは分散型システムやP2P(Peer to Peer)ネットワークと言われており、中央管理者が存在せずに、誰でも自由に参加することができます。

公開取引台帳

上記の説明にもある様に、ブロックチェーンへは誰でも参加できて、データの書き込みや参照が可能です。別の言い方をすれば、一般公開されたデータベース(データを保存するシステム)とも取れます。しかし、ブロックチェーンのデータベースは、通常のそれとは比べ物にならないほど処理性能が悪く、蓄積できるデータ容量が少ないことで有名です。

マイナー

コインの送受信データをブロックチェーンへ取り込む処理をする特定の参加者のことです。このマイナー達は、①取引データの妥当性を検証し、②ブロックチェーンに取り込みロックするための鍵を探します。①と②の作業は10分毎に行われており一番最初に②の鍵を見つけたマイナーへ報酬としてビットコインが与えられます。また、私たちがビットコインの送金をする際には、マイナーがブロックチェーンへ取り込む処理をするための手数料を払う必要があります。

登記システムとは?

登記には不動産登記や商業登記、成年後見登記などいくつか種類があります。冒頭で述べた公証人とは、商業登記つまり会社の登記をする際に必要となる定款の認証をする人たちです。そこで今回は商業登記の簡単な流れと、そこに関わる登記システムについて見てみたいと思います。

・定款認証

会社の登記をするにはまず定款(会社のルール)を作成し、その認証をしてもらう必要があります。そこで私たちは公証役場という定款認証を行っている役場へ行き、公証人へ定款認証をしてもらいます。この公証人は公募制ではありますが、役人の「天下り」になっていることで有名です。そこで生産性革命の政策の一環として「法人設立の全手続きをオンライン・ワンストップ完結」にする取り組みが推進されてはいますが政治的な問題でなかなか進んでいないみたいです(政策の詳細はここ)。この公証人の役割や存在意義とブロックチェーンはあまり関係がないので今回は割愛します。

・登記申請

定款認証が得られると法務局へ行き、1.登記申請書を提出し、2.登記官が審査、登録をします。この時に登記情報などを登録するシステムが「登記システム」と言われているものです。登記システムへは誰でも参照ができるわけではなく、登記情報提供サービスを経由して有料で参照することが可能です(詳細はここ)。

図1 登記システムと登記の流れ(例)

ブロックチェーンで代替できるのはどこか?

図1を参照すると、ブロックチェーンで代替できるのは「登記システム」のように見えますが、それは安易な考え方です。システムというのは、ログイン画面や登録画面、参照画面など様々な画面や機能があります。入力事項のチェックをしたり、他システムとの連携をしたり、データを保存するデータベースであったりと様々な機能が存在しているのです。図2は参考例ではありますが、システムの構成内容を表しています。この中からブロックチェーンで置き換え可能な箇所はデータを保存するデーターベースのみだと思います。しかし、ブロックチェーンは処理速度が遅かったり、蓄積できるデータ容量が限られていたり、また、一度データを登録するとすべてのユーザーが参照可能となります。一般公開されている登記情報でも一部のデータ(個人情報や法務省の内部情報)などはアクセスできないように制限されているはずです。これらのアクセス制御はブロックチェーンではできないのです。この例から見るとブロックチェーンは単なる登記簿データベースとしての機能としてしか使われないでしょう。そうであれば、そもそも置き換えても費用対効果が見込めないよう思われます。

図2 登記システム構成図(例)

まとめ

ブロックチェーンは誰でも書き込み・参照が可能な公開取引台帳(データベース)であることについて述べました。また登記システムは様々な機能や外部システムと連携している複雑なシステムであり、ブロックチェーンが代替可能な箇所はデータベース部分であることが分かりました。しかし、ブロックチェーンでは処理速度が遅かったり、保存データ容量が限られていたり、またデータのアクセス制御ができないことについて述べました。

以上、悲観的な見方の記事になってしまいました。それでもブロックチェーンを活用することで、現行の登記システムの維持コストが低減できるかもしれません。それが実現すれば、新たなブレークスルーとなり色々なブロックチェーン技術を使ったユースケースが増えてくることでしょう。

ライトニングネットワークの経済圏

*.marginmarker {
background-color: #f0e68c;
/**margin-left: 0.3em;**/
/**margin-right: 0.3em;**/
}

どんな経済圏でもお金がまわる仕組みが必要です。例えば、私たちの生活では仕事をして得たお金を使って物やサービスを消費します。働くことでお金を得るわけですが、なぜ私たちはお金を欲しがるのでしょうか?それはモノやサービスを消費するためであったり、将来のために貯蓄するためであったり人それぞれです。貯蓄することも、将来はそのお金で何かを消費するために貯蓄している方が大半だと思います。

ポイントも同じことが言えると思います。私たちが一生懸命ポイントを貯めるのは、そのポイントを使って何か消費しようと思っているからです。もしこのポイントで買えるものが極限られたもの、例えば、乾電池だけだとしたらどうでしょうか?誰もこのポイントを貯めようとはしないと思います。

ではビットコインはどうでしょうか?ビットコインは法律上、決済手段という定義ですが、金や株のように価値があり日本円へ換金することはできます。この点では、一部のユーザは価値の保存や投資目的で欲しがる人もいるとは思いますが、しかし、これも結局は円への換金が目的となっているでしょう。

ビットコインが通貨として機能するためには、やはりそれ自身でモノやサービスの消費ができることが必要だと思います。しかし、ビットコインを使った決済は、以下のような理由で不便なこともあります。

  •  決済手数料が高い
  • 決済処理が遅い

そこでこれらの問題を改善しようとして開発された技術がライトニングネットワーク(以下、LNと称す)です。このLNもまだまだ発展途上な技術ですが、2018年1月の流通量は数BTCだったのが2018年12月には500BTCと確実に増えています。しかし、まだまだ通常のビットコイン決済よりも複雑であったりと、中々大衆へのは普及ができていません。

なぜLNを使う必要があるのか?なぜビットコインをLN上で持っていると嬉しいのか?もっと言うと、なぜビットコインを持っていると嬉しいのか?私たちがビットコインも持ちたがらない理由の1つとして、ビットコインを決済として消費できる魅力的なモノやサービスが殆どないからだと思っています。

そこで今回はLNが普及するには、その決済手段を使って消費したくなるような魅力的なモノ・サービスについて例を挙げたいと思います。LNは、LNにしか活用できるようなサービスがいくつかあります。今回はLNの小額決済という特徴を活かして魅力的なサービスが作れないか、以下に上げたいと思います。

デジタルコンテンツ売買プラットフォーム

LNを使うと、デジタルコンテンツの売買できる最小金額が1円やそれ以下でも可能となります。また、購入者はクレジットカードを持っていなくても(ただしビットコインは持っていないとダメですよ!)、簡単に1円単位で購入が可能になります。ここで重要なのが、消費者が欲しいようなコンテンツがあって初めてLNを使いたいという動機になると思います。売買プラットフォームでなくても、まずは、デジタルコンテンツ専用ECショップから魅力的なデジタルコンテンツの販売をする人々が出てきても面白いと思います。例えば、本サイトもデジタルコンテンツを11円で販売しています。

1記事ごと課金のニュースサイト

現状のニュースサイトの収益モデルは大きく分けて①広告収入と②有料購読があります。しかし、昨今は広告をブロックするアプリの台頭によって広告収入が脅かされています。そこで、欧米などのパブリッシャー(New York Timesや Financial Times)などは、マイクロペイメントによる1記事25セントなどで販売する仕組みを導入し出しています。

そこで、仮想通貨関連のメディアなどがLNによるマイクロペイメントを導入し、一部の記事に対して課金などをしてみてはどうでしょうか?その記事がユーザにとって読みたいと思う内容であれば、LNを使う動機となると思います。まずは、一部の記事をLN課金とするのも最初のステップとして面白いと思います。

ゲーム内課金

ゲームのクリア報酬としてLNでコインをユーザへ還元したり、ゲーム内アイテムをLNで購入したりするのも、ユーザにLNを使ってもらうための魅力的なサービスになり得ると思います。

具体的には、Sarutobiというサルを遠くまで飛ばすといゲームが、LNでのアイテム購入や小額報酬として実装されています。ユーザはゲーム報酬として単にコインがもらえるだけでは、やはり誰も欲しいとは思わないでしょう(コインは取引所などで円へ換金できるといっても小額すぎて誰もやらないでしょう)。しかし、ゲーム内ではアイテム購入や、自分のスコアをスコアボードへ登録するためにコインを消費することができます。このようにLNで消費したい何かがゲーム内にあることが重要で、これによってユーザはコインが欲しいと思うのかなと思います。

IoT課金

正直自分もこれがどれぐらい小額決済と結びつくのか、また、画期的なIoTが思いつかないので具体的な例が上げられないのですが、もし魅力的なIoTサービスがあって、マイクロペイメントに適しているものであれば、クレジットカードなどでは不可能な小額決済としてLNが採用される可能性はあると思います。

例えば、あるお店の店内の混み具合をしりたい場合、LNペイすることでその瞬間の店の写真がネット上で見れるというサービスは面白いと思います。

まとめ

ビットコインもLNも、日本円やクレジットカードではできないような、魅力的で消費したいようなモノ・サービスが出現してくると今よりも普及してくるのかなと思います。