登記システム、公証人はなくならない理由とは!?

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はじめに

ブロックチェーンで登記システムを代替してしまおう!それで公証人も不要だ!と言う声をたまに聞くことがありますが、ブロックチェーンではそのようなことはできません。 まず、ブロックチェーンとは何か、また、それがどのような課題解決に役立つのかを見ていきます。次いで、登記システムの概要と公証人の役割を確認します。そうすればなぜブロックチェーンで登記システムが代替できないのかが見えてくると思います。

ブロックチェーンとは?

ブロックチェーンはビットコインの基盤技術として発明された仕組みです。その為、ビットコインおよびブロックチェーンは切っても切り離せない存在です。ビットコイン及びブロックチェーンが解決しようとした課題とは、銀行などの第三者機関の仲介なしで、手数料を安く、決済処理を早くして個人間のお金の移動を簡単にすることでした。以下に、ブロックチェーンの特徴をいくつかご紹介します。

誰でも参加できる

普段私たちがネットショッピングやSNSを使う場合、それを管理している人がいます。そのようなシステムを中央集権型と言いますが、世の中の99%がこのような中央集権型のシステムで成り立っています。これに対し、ブロックチェーンは分散型システムやP2P(Peer to Peer)ネットワークと言われており、中央管理者が存在せずに、誰でも自由に参加することができます。

公開取引台帳

上記の説明にもある様に、ブロックチェーンへは誰でも参加できて、データの書き込みや参照が可能です。別の言い方をすれば、一般公開されたデータベース(データを保存するシステム)とも取れます。しかし、ブロックチェーンのデータベースは、通常のそれとは比べ物にならないほど処理性能が悪く、蓄積できるデータ容量が少ないことで有名です。

マイナー

コインの送受信データをブロックチェーンへ取り込む処理をする特定の参加者のことです。このマイナー達は、①取引データの妥当性を検証し、②ブロックチェーンに取り込みロックするための鍵を探します。①と②の作業は10分毎に行われており一番最初に②の鍵を見つけたマイナーへ報酬としてビットコインが与えられます。また、私たちがビットコインの送金をする際には、マイナーがブロックチェーンへ取り込む処理をするための手数料を払う必要があります。

登記システムとは?

登記には不動産登記や商業登記、成年後見登記などいくつか種類があります。冒頭で述べた公証人とは、商業登記つまり会社の登記をする際に必要となる定款の認証をする人たちです。そこで今回は商業登記の簡単な流れと、そこに関わる登記システムについて見てみたいと思います。

・定款認証

会社の登記をするにはまず定款(会社のルール)を作成し、その認証をしてもらう必要があります。そこで私たちは公証役場という定款認証を行っている役場へ行き、公証人へ定款認証をしてもらいます。この公証人は公募制ではありますが、役人の「天下り」になっていることで有名です。そこで生産性革命の政策の一環として「法人設立の全手続きをオンライン・ワンストップ完結」にする取り組みが推進されてはいますが政治的な問題でなかなか進んでいないみたいです(政策の詳細はここ)。この公証人の役割や存在意義とブロックチェーンはあまり関係がないので今回は割愛します。

・登記申請

定款認証が得られると法務局へ行き、1.登記申請書を提出し、2.登記官が審査、登録をします。この時に登記情報などを登録するシステムが「登記システム」と言われているものです。登記システムへは誰でも参照ができるわけではなく、登記情報提供サービスを経由して有料で参照することが可能です(詳細はここ)。

図1 登記システムと登記の流れ(例)

ブロックチェーンで代替できるのはどこか?

図1を参照すると、ブロックチェーンで代替できるのは「登記システム」のように見えますが、それは安易な考え方です。システムというのは、ログイン画面や登録画面、参照画面など様々な画面や機能があります。入力事項のチェックをしたり、他システムとの連携をしたり、データを保存するデータベースであったりと様々な機能が存在しているのです。図2は参考例ではありますが、システムの構成内容を表しています。この中からブロックチェーンで置き換え可能な箇所はデータを保存するデーターベースのみだと思います。しかし、ブロックチェーンは処理速度が遅かったり、蓄積できるデータ容量が限られていたり、また、一度データを登録するとすべてのユーザーが参照可能となります。一般公開されている登記情報でも一部のデータ(個人情報や法務省の内部情報)などはアクセスできないように制限されているはずです。これらのアクセス制御はブロックチェーンではできないのです。この例から見るとブロックチェーンは単なる登記簿データベースとしての機能としてしか使われないでしょう。そうであれば、そもそも置き換えても費用対効果が見込めないよう思われます。

図2 登記システム構成図(例)

まとめ

ブロックチェーンは誰でも書き込み・参照が可能な公開取引台帳(データベース)であることについて述べました。また登記システムは様々な機能や外部システムと連携している複雑なシステムであり、ブロックチェーンが代替可能な箇所はデータベース部分であることが分かりました。しかし、ブロックチェーンでは処理速度が遅かったり、保存データ容量が限られていたり、またデータのアクセス制御ができないことについて述べました。

以上、悲観的な見方の記事になってしまいました。それでもブロックチェーンを活用することで、現行の登記システムの維持コストが低減できるかもしれません。それが実現すれば、新たなブレークスルーとなり色々なブロックチェーン技術を使ったユースケースが増えてくることでしょう。

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